株式会社タマディック

データに基づいた、社員が成長
するための人材育成の基盤を確立

株式会社タマディック

自動車や航空宇宙分野を中心に、設計・開発・生産技術を担うエンジニアリング企業の株式会社タマディック(以下タマディック、敬称略)では、人材育成を円滑に行う道具としてSkillnote(スキルノート)を採用した。 業務経歴やスキルマップ、取得資格等の一元管理によって、社員の保有スキルを明確化。 整理されたデータを基に上長と本人が中長期的な視点で成長を捉え、目標管理面談での活用等に繋げる取り組みをしている。


株式会社タマディック


株式会社タマディック 従業員数:956名


エキスパートの検索人材育成の基盤構築

課題 導入前の課題

社員の力量管理システムは構築済みで、業務履歴や資格、教育、スキル管理を行っていたが、

  • 社内サーバーで管理されていたために、客先勤務者が社外から活用できなかった
  • 検索機能が乏しく、人材の検索に時間を要していた
  • 上司のみが管理しており、本人不在のスキル管理となっていた

課題 導入後の効果

  • 業務経歴やスキルマップの一元管理により、全社共通の社員保有スキルが明確化された
  • 各分野、各技術のエキスパート抽出ができるようになった
  • 整理されたデータを基に上司と本人で、中長期的な視点で成長を捉え、目標管理面談での活用等に繋げる取り組みを可能にした

ポイント 導入のポイント

  • 保守が容易で、社外からのアクセスが可能なクラウドサービスを優先
  • 会社が社員を管理するツールではなく、本人が成長するための仕組みを実現する

導入事例インタビュー

インタビュー先
管理本部人材開発部 部長 楓 聡 様
管理本部人材開発部 スペシャリスト 西原 弘二 様



インタビュー 積極的な人材育成・活用のために、Skillnoteを導入

− Skillnoteの導入を検討するに至った経緯について教えてください

従来は、Lotus Notes(IBM Notes。以下、Notes)を利用して「力量管理システム」を設計し、社員のスキル管理と教育管理を行っていましたが、セキュリティや災害へのリスク対策上、社内にサーバーは置かない方針となり、社員の力量管理をどんなシステムを使うかは当部門に任されたことがはじまりです。 また、Notesを利用した「力量管理システム」にはいくつかの問題点もありました。 タマディックでは、お客さま先への常駐・派遣という形態で働いている社員も何割か居るのですが、セキュリティ上、社外からシステムにアクセスができないために閲覧や編集ができないという状態でした。

当時は、力量管理情報入力を半年に一回行っていたのですが、各人が最寄りの事務所まで足を運んで入力を行う必要がありました。 従って、ほとんど管理職が把握している範囲で入力するというのが定常的になっていました。 保有スキルや教育状況の棚卸しは行えていましたが、より積極的な人材育成や活用、本人の自発性サポートには活かすことができていなかったという状況でした。

また、Notesデータベースの仕様上の制約もあり、自社システムでは効率良く人材を検索することができていませんでした。 たとえば、航空宇宙分野に精通していて、解析技術レベルが3以上、MATLABが使える、といった複数の条件での人材検索ができず、目的の人材を探す際に手間がかかっていました。 特定のスキルや経験を持つ人材を検索する機能の強化は、部門をまたぐような新規プロジェクトにアサインする為にスキルを持つ人材を早期に見つけ出すことや、お客さまの技術要求に迅速に対応できる人材を探し出すなど、新規案件を受注する上で重要な課題でした。

タマディックは人材育成スローガンとして、「自ら『考働(※)』できる技術者になろう」というものを掲げています。 従来の「力量管理システム」では上司が部下のデータを管理する「本人不在のシステム」となっていました。 そのような中、人材開発部では、「管理する道具ではなく、本人が成長するための基盤」を作っていきたいと考えていました。

※「考働」とは、「言われたことを行う」のではなく「自分自身で考えて働く」こと。



インタビュー 「本人が成長するための基盤」作りを実現する

− システム選定のポイントを教えてください

社内には、通信教育を受講し終了した人に奨励金を与える制度があり、その通信教育案内・申し込みをSkillnoteで行っていました。 まず、新しいものの導入をスムーズに行う為に、社員が馴染めるものであることを考えました。 また、従来の「力量管理システム」のように設計費用のかかるものではなく、パッケージ(ここではクラウドサービスも含む)を導入する方針としていました。 自社開発も選択肢の一つでしたが、開発工数やその後の追加開発、保守まで考えると、ベストプラクティスが取り込まれたパッケージを導入する方が、費用対効果が高いと考えました。

システムの利用形態として、オンプレミスかクラウドサービスかという選択肢がありますが、クラウドサービスを選択しました。 その背景として、社外からのアクセスが必要という要件もありましたが、セキュリティ(災害も含む)面での全社的強化も背景もありました。

もう一点、システム更新の際には、従来の「会社による力量管理」から脱却し、「本人が成長するための基盤」を実現していくこともポイントでした。 そのため、本人も現状と目標を確認できたり、自主的に研修等を申し込めるといった機能も求めていました。

なお、当初はSkillnoteの教育管理機能から導入したのですが、段階的に資格管理、スキル管理も機能を追加していきました。 Skillnoteは、人材育成基盤として必要な機能が総合的にそろっている点、後からも段階的に利用機能を増やしていける点も評価しました。



インタビュー 研修や通信教育の管理から始め、段階的にシステム導入

− 導入や運用時の工夫について教えてください

社員に愛着をもってシステムを利用してもらいたかったため、社内の通信教育プログラムの呼称であった「羅針盤」という名称を踏襲し、Skillnote利用時のシステム名やロゴを「羅針盤」に差し替えて導入しました。 この「羅針盤」という名称には、技術者の自己実現やキャリア開拓という大航海をナビゲーションしたいという思いが込められています。

一度に複数の業務をシステムに置き換えるのではなく、研修や通信教育の管理から始め、業務経歴管理、資格管理とスキル管理と、段階的にシステム導入を進めました。 これも馴染んでもらうためです。

特に業務経歴情報のデータ整備は、運用しながら試行錯誤を行いました。 当初あるデータ項目を「自由記入」としていたのですが、各社員の表記にばらつきがあり検索性を下げてしまうという状態が発生してしまっていました。 データ移行と入力のしやすさを考慮して自由記入にしていたのですが、本来の目的である検索性の向上を妨げてしまうため、この項目を「択一式」に全て置き換えました。 置き換えの手間はかかりましたが、検索性が改善しました。他のデータにおいても、検索性を下げないために初期データや入力ルールなどを整備することは慎重に検討しました。



インタビュー 社員の保有スキルをマクロ視点で見える化、中長期的な人材育成の取り組みが可能に

− 導入の効果について教えてください

保有スキルや教育状況が可視化された結果、事業部門でも活用が広まっています。

業務経歴やスキルマップから社員の保有スキルをマクロ視点で確認できるようになったため、一番重要なリソースである社員のスキルや業務状況を見たい切り口で確認できるようになりました。 それにより、各技術分野のエキスパートを抽出することも実現しています。

実際に、11種類の技術分野ごとに、抽出したエキスパートから構成される技術力強化委員会を設置し、技術強化のための取り組みができるようになってきました。 この委員会では、社内主要プロジェクトにおける設計・開発レビューでエキスパートとして発言権を持つ重要な役割を担うことを目指しています。 エキスパートからの指導を通し、技術強化や品質向上、さらには人材育成計画の立案にもつながると考えています。

事業部門においては、整理されたデータを基に、上司と本人が、中長期的な視点で業務遂行力を向上させていくための面談や教育指導が可能になってきています。

Skillnoteを年2回の目標管理面談時に使用。 現状スキル、今後の強化ポイントなどについて、情報を共有しながら面談を実施していきます。 本人の保有資格や教育状況を見て、「次のステップに進むには、この教育を受けてこの資格を取るとよい」といった挑戦目標も具体的なアドバイスができるようになってきています。 受講履歴から本人が受講した研修も確認できるため、面談時に研修のフォローをすることも可能です。



インタビュー 育成体系図の活用により、自己実現のサポートを目指す

− 今後の展望について教えてください

今後は、Skillnoteの「ステップアップシート」機能を活用して、育成体系図の社内公開と運用を行いたいと考えています。 ステップアップシートで職種や技術分野ごとにキャリア体系図を公開することによって、次に何を学べば成長できるのか、少しキャリアチェンジしたい時にどんなキャリア体系があるのかなどを本人が知ることができ、本人の自己実現をサポートできると考えています。

ステップアップシートによって、上長も「次のステップに進むには、ここが足らないよ」と具体的にアドバイスすることができるようになります。 明確な会社基準を設けることにより、上長によって言ってることが違うとか、アドバイスの具体性に差があるといったことを避けられると考えています。


企業情報

自動車や航空宇宙機器、産業機械・ロボットなど、トップメーカーの設計・開発・生産技術の分野で、高い技術サービスを提供する総合エンジニアリング企業。 設計・開発・生産技術の領域で、高度な専門性と技術力を要求されるコア業務を担う。
「戦後初の国産旅客機」「国内初の宇宙ロケット」「世界初のハイブリッドカーの開発」など、独立系の機械設計会社として創業して以来、常に 「ミライ」を見据えた開発に携わっている。
「誠実・創造」を企業理念とし、トヨタ自動車、日産自動車、三菱重工業、三菱電機など(敬称略)の大手メーカーと長期にわたり信頼関係を築いている。



社訓

社名 株式会社タマディック
設立 1959年
従業員数 956名(2017年4月1日現在)
事業内容
  • 1.航空宇宙、自動車分野における開発・設計・生産技術・試験解析
  • 2.精密機器、産業機械、搬送装置などの開発・設計
  • 3.各種専用機および電気制御機器などの設計・製造・販売
  • 4.電気・電子機器の開発・設計
  • 5.ソフトウェア、ファームウェアの開発

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