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社内認定資格制度とは? 製造業で導入・運用する目的とメリットをご紹介

社内認定資格制度とは、個々の企業が自社で雇用している従業員を対象として、独自に構築している資格制度のことを指します。この記事では、社内認定資格制度の主な目的とメリット、参考例をご紹介します。

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製造業における社内認定資格制度とは?

近年、ビジネス環境の変化が激しくなっており、業務の多様化・複雑化が加速しています。こうした変化に臨機応変に適応していくためにも、従業員の能力やスキル向上は、どの企業にとっても欠かせない取り組みとなっています。その一環として多くの企業で導入されている施策の一つが、社内認定資格制度です。

社内認定資格制度では、従業員が持つべき技術や知識などのスキルを設定し、それらに応じた試験や研修を行うことによって、従業員が保有するスキルの判定をしています。製造業でも、独自の社内認定資格制度を導入している企業は多く見られます。

同じく従業員の能力や、スキルの向上を目的とした取組みとしては、スキル管理があります。スキル管理は、製造工程や業務フローを軸に、スキルが構成されていいるのが一般的です。一方で、社内認定資格制度は、職種や役割として、あるべき姿に沿って、スキルが構成されることが特徴です。

社内認定資格制度を導入する主な目的

社内認定資格制度を導入する目的は企業によってさまざまですが、代表的なものは以下の3つに集約されます。

1)企業内における技術レベルの維持と向上

自社の技術レベルを維持・向上させるためには、個々の従業員のスキルアップに取り組み続けることが重要となります。各職種に必要とされるスキルの維持・向上を目指すため、社内資格を利用することが可能です。

例えば、製造業におけるフィールドエンジニアなどの職種では、各現場の状況に応じて適切な判断を下し、必要とされる技能や知識を使って柔軟に対処する高度なスキルや技術レベルが必要です。そのレベルを全社的に維持するため、社内資格を導入しているケースがあります。

また近年では、さまざまな製造プロセスの自動化が実現したことによって、すべて人の技術が必要とされていた時代と比較すると、現場で働く従業員の技能レベルは低下傾向にあります。しかし、製造プロセスの自動化レベルをさらに向上させるためには、関わる人のスキルや技術のレベルアップが不可欠です。そうした個々の技能を維持するうえで、社内資格が効果を発揮する場合もあります。

2)人材の育成

人材育成を目的として、社内認定資格制度を導入しているケースもあります。従業員を育成するステップに社内資格を組み込むことで、教育体制や評価方法などを標準化することができます。

また資格の取得をステップアップのための中間目標とすることによって、継続的な従業員の育成、スキル向上につなげることも可能です。

例えば、新人社員の、早期戦力化を目的とするのであれば、基礎として必要な一定のスキルや知識、経験をまとめて社内資格を設計。その資格を取得しないと、次のステップに進めないという仕組みを構築するケースなどがあります。

3)従業員のモチベーション向上

「資格の取得」という共通のゴールと評価基準を設定することによって、技能に対する評価が明確化され、従業員のモチベーション向上につなげやすくなります。

一般的によく知られている職種や、国の技能検定などがすでにある仕事では、評価軸がある程度共通認識となっています。しかし極めて専門性の高い領域においては、公的な認定資格などが存在せず、その技術を評価できる人が少ないために、身に付けているはずの技能に対して公正な評価を受ける機会がなかなかありません。

そうした領域の業務を手掛けている場合、独自の社内認定資格をつくることで、従業員がもつ技術レベルの高さを周知する材料となり、本人の誇りや自信にもつながります。また若手の従業員は、自分が目指すべき目標を認識しやすくなります。

関連記事:資格管理とは? 資格を管理する目的・方法・収集項目・システム導入のメリットなど

社内認定資格制度を導入・運用することで得られる組織のメリット

社内認定資格制度を導入・運用することで、組織内ではどのようなメリットが生まれるのでしょうか。3つの観点から説明します。

1)業務に必要なスキルの可視化

社内認定資格制度を設計・構築していく過程で、従業員がその仕事をするうえでどのような技術・知識・経験が必要になるかを整理し、可視化することができます。

関連記事:スキル管理とは? 目的・方法とスキルマップの活用

2)サービスの標準化

業務に従事するために必要な技術・知識・経験を定義し、それをクリアした資格所有者のみが一定の業務に就けるなどの仕組みを構築することによって、自社商品やサービスの品質を維持することができます。

3)企業価値の向上

従業員の職業能力のレベルの高さや、自社に特有の技能・知識があることを顧客に伝える材料となり、取引先からの信頼を得るなど、企業価値の向上につなげることができます。

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社内認定資格制度の構築の参考例

最後に、社内認定資格制度を構築するにあたって参考となる企業の例をご紹介します。

こちらのページは、厚生労働省が実施している「社内検定認定制度」と、取組み事例に関するページです。厚生労働省では、企業が定める社内資格や検定制度の「枠組み」を評価し、正式に認定をする取組みを行っています。認定にあたっては、一定の条件や申請事項をすべてクリアする必要があり、専門のコンサルティングを利用するなど細やかな対応が必要です。

社内認定資格や検定自体は、こうした認定を受けなくても企業独自に実施することができます。しかし正式な認定を受けることで、より能力の開発や向上を促す効果や、働く人の経済的、社会的地位の向上を図ることができるでしょう。

まとめ

今回は、企業が社内認定資格制度を導入・運用する主な目的と得られるメリットを中心にご紹介しました。社内認定資格制度の特徴は、「資格取得」という共通のゴールがあることで、より技能の重要性の認識が高まることにあります。人材育成の中でも、技能の継承や、多能工化、若手の早期立ち上げなど、優先度が高い場面で制度としての役割を発揮できるでしょう。


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