力量管理について、運営上の課題をお持ちの企業も多いと思います。しかし力量管理は、積極的に活用することによって企業にさまざまなプラス要素をもたらしてくれます。この記事では、具体的な事例を交えて、力量管理を効果的に行っている企業にはどのような共通点があるのか、そのポイントをお伝えします。
目次
力量管理に関するよくある悩み
「力量(りきりょう)」とは、個々の業務に必要な技能、知識、資格、経験等の能力のことを指しています。 製造業をはじめISO9001認証を取得している企業では、要求事項に応じた力量管理を厳格に行わなければなりません。
そのため、ISOの力量管理に関連する様々な業務が現場では求められており、それらを配慮し、要件を充足できるような運用の設計が非常に重要です。
力量管理を企業で取入れる場合、決められたフォーマットや一般的な管理方法があるわけではありません。各企業の事業内容や現場の状況、経営方針、今後の経営戦略などに合わせて独自に運用していく必要があります。
また、管理において大切なことは、必要な情報が、正しく漏れなくに記録され、継続的に保管できていることです。そのため、以下のような制度設計や、運用の徹底に関するお悩みを抱える企業が多く見うけられます。
●力量管理に関する「よくある悩み」 ・管理するためのシステムがなく、運用の作業が属人化している ・部署ごとなどにバラバラに管理されており、組織内で統一されていない ・自社に最適化されたスキル体系やスキルマップが作成できていない |
力量管理を有効活用している企業の特徴とは
しかし一方で、力量管理を組織内で有効活用し、ISOの要求事項などを適切に管理する以上の成果を得ている企業もあります。製造業における力量管理には、どんな可能性があるのでしょうか。ポイントは以下の3点に集約されます。
1)力量管理によって実現できること、可能性を幅広く理解している 2)トップダウンではなく、全社を巻き込み共通認識を作っている 3)運用が形骸化しないよう、自分たちに適した仕組みを構築している |
1)力量管理によって実現できること、可能性を幅広く理解している
あくまでも「力量管理はISOの基準を満たすためのもの」と捉えて、運用を行っている企業もあるでしょう。しかし力量管理を積極活用することによって、中長期的な人材育成や従業員エンゲージメント向上など、幅広い領域での成果を得ることも可能です。効果的な力量管理を実施している企業の多くは、そうした可能性を理解したうえで管理体制を構築しています。
2)トップダウンではなく、全社を巻き込み共通認識を作っている
力量管理の円滑な運用を目指すには、全社の巻き込みが欠かせません。なぜ力量管理を行うのか、どのように運用していくのか、経営・マネジメント側と、実際に運用する現場担当者との間ですり合わせを行い、組織内関係者の認識を揃えていくこと。力量管理の運用は、社内の協力体制を作るところからはじまっています。
3)形骸化しないよう、運用のための仕組みを構築する
時間をかけて自社にマッチしたスキルマップを作成し、組織内の対話を重ね、力量管理の可能性を見据えて運用をスタートしたとしても、ほんの少し情報の入力が面倒だったり、管理方法が煩雑だったりするだけで、すぐに形骸化してしまうものです。継続的な運用ができている企業の多くは、現場を巻込んだ運用の設計を行い、誰でも簡単に作業ができるよう、ツールやシステムを導入することで効率的な管理を行っています。
力量管理を有効活用している製造業の事例
実際にどのような力量管理を行って成果につなげているのか、当社が支援した企業の事例を交えてご紹介します。力量管理は自社に合った方法で実施することが最も重要なので、一つの参考事例としてご覧ください。
事例1)中長期的な人材育成計画と紐づけた力量管理に移行
自分たちが行っている力量管理に課題を感じていたA社では、戦略的な人材育成や従業員のモチベーション向上などを見据えた運用方法の見直しを実施。それまでは管理方法の問題から、限られた管理職しかデータを閲覧・入力することができなかったうえ、管理手法の問題もあり、組織内にいる人材のもつスキルがすべて可視化されているとはいえない状況だったといいます。
「SKILL NOTE」導入によって力量管理の運用方法を一新した結果、これまで明確に把握しきれていなかった全従業員の保有スキルや、研修状況が一覧できるようになりました。人材に関するデータが整理され、常に最新の状態にアップデートされるため、そのデータをもとにした中長期的な人材育成計画をスムーズに立案することが可能となりました。
事例2)従業員の自律性を引き出し、個人のキャリアアップに寄与
Excelにより部署ごと独自の力量管理を行ってきたB社では、今後の人材戦略として、会社や上長が従業員を「管理」する状態から脱却し、個々人が自律した組織を構築することを目指していました。そのためには、マネジメント側だけではなく従業員本人もアクセスできるデータ環境を整えることが必要と考えていたそうです。
そこで「SKILL NOTE」にデータを移行し、力量に関する情報については、本人も閲覧できるように。一人ひとりが、自分の保有する資格や現状習得しているスキル、受けた研修の履歴などがいつでも振り返れるようになりました。その人の現在地を明確に把握することが可能となったため、上長も、スキルアップについての目標設定や具体的なアドバイスがしやすくなっています。このまま運用を続けることによって、従業員の自律性が育まれていくでしょう。
まとめ
製造業にとって、組織内の力量管理は非常に重要な経営課題の一つです。管理・運用のハードルはありますが、今回ご紹介した事例のように、中長期的な人材育成の実施や、従業員一人ひとりのキャリアアップ、モチベーション向上などにつなげることも可能です。
当社では製造業をはじめとし、多数の企業に対する導入支援も行ってきました。これから力量管理を始めたいという場合も、力量管理の将来的な活用も見据えた上で、企業にあわせた制度設計や運用体制の構築をサポートいたします。
また、力量管理において重要なことは、必要な情報が、最新の状態で正しく・漏れなく記録されていることです。弊社が提供している「SKILL NOTE」は、実際に作業を行う本人や、管理者の負担を限りなく軽減できるよう設計されています。ご興味のある方は一度お問い合わせください。
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