ISO9001のスキルマップ(力量表)

ISO9001の力量管理では、スキルマップ(力量表)を使うのが定番となっています。
社内の管理規定やルールに基づいて、実際にスキルマップを作成されているご担当者も多いと思います。
そもそも、ISO9001において、スキルマップとはどのような位置付けになっているのでしょうか。

ここでは、ISO9001の要求事項の一部をご紹介しながら、ISO9001の力量管理において、スキルマップがなぜ必要なのか、どういった目的で使われているのかをご紹介します。
スキルマップの運用に悩みをお持ちの方も、ISO9001におけるスキルマップについて、その目的を再認識いただけると思います。

ISO9001のスキルマップ(力量表)とは?

製品やサービスの品質を管理し、顧客満足度を高めるための仕組みを品質マネジメントシステムと呼びます。
ISO9001は、国際標準化機構が定めた品質マネジメントシステムの国際規格です。
ISO9001は、日本国内でも4万件を超える取得件数があり、製造業や建設業において多くの企業が認証を受けています。
また、製造業や建設業以外に、ホテルやレストランといった業種でもISO9001は取得されています。

さて、このISO9001では、認証を得るための要求事項の一つとして、「製品品質に影響がある仕事に従事する人の力量を把握し、必要な教育・訓練を実施すること」を求めています。
この力量の把握に、スキルマップ(力量表)が幅広く利用されています。

力量とは?

ISOでいう「力量(りきりょう)」とは、個々の業務に必要な技能、知識、資格、経験等の能力のことを指しています。

力量 = 「業務に必要な力」

力量 = 「業務に必要な力」

例えば、機械設計という業務を行うためには、様々な知識や技能が必要です。
製品に関する知識、機械の基礎理論、製図の知識、またCAD(コンピュータ支援設計)等のツールを使うスキルなどが必要とされます。

サービス業の例では、ホテルスタッフに必要な力量はどうでしょうか。
接客マナーの知識、コミュニケーション力は必須ですね。
またホテルの客層によっては、英語などの語学力も必要となりそうです。

このように業務に必要な技能、知識、資格、経験等の能力を力量と呼び、その要件を満たしていれば「力量がある」と言います。

必要な力量をスキルマップで明確化

ISO9001の要求事項6.2.2「力量、認識及び教育・訓練」には、以下のような記載があります。


6.2.2 力量、認識及び教育・訓練

組織は、次の事項を実施すること。
a) 製品品質に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量を明確にする。
b) 必要な力量が持てるように教育・訓練し、または他の処置をとる。
c) 教育・訓練または他の処置の有効性を評価する。
d) 組織の要員が、自らの活動の持つ意味と重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識することを確実にする。
e) 教育、訓練、技能及び経験について該当する記録を維持する(4.2.4参照)。


これらをわかりやすく言い換えると、「業務に必要な力量を洗い出し、担当者にその力量が不足している場合は教育・訓練によって力量を補いましょう」という趣旨になります。
ISO9001においては、力量把握をして、その上で教育・訓練のプロセスのPDCAサイクルをしっかり回すことを求めています。
ここで力量を管理するためには、スキルマップ(力量表)がとても有効です。

まずは、担当者が業務を遂行する上で、どのような力量が必要なのかをスキルマップを使って洗い出します。
例えば、製品検査という業務には、検査対象となる製品に関する知識や、検査機器による測定スキル、さらには検査結果を判断する知識や経験も必要となるでしょう。

このように製品品質に影響がある仕事に従事する担当者に必要な力量を明確にし、その上で担当者に不足している力量があれば、必然的に行うべき教育・訓練がわかります。

製品検査の業務において、検査対象の製品知識が足りなければ、製品に関する研修の受講が必要となるでしょう。また、検査機器の測定スキルが不足していれば、先輩や上司の指導の下、一定期間のOJTによる教育・訓練が必要です。

スキルマップがあれば、業務に必要な力量を簡単に把握でき、さらには行うべき教育・訓練も明確にすることができます。
ISO9001の力量管理においては、スキルマップは必要不可欠なツールと言えます。

具体的なスキルマップで教育・訓練につなげる

ISO9001を取得している企業では、ほとんどの企業でスキルマップ(力量表)を使って、力量管理を行っています。
スキルマップは代替のないほど不可欠なツールとなっているのですが、一方でスキルマップが形骸化していて、定期的に作成はしているものの、あまり実務で活用はできていないとう声を耳にすることもあります。

スキルマップを実務で本当に活用していくためには、スキルマップで可視化した力量を、実際の教育・訓練につなげることが大事です。
そのためには、スキルマップの力量項目を、形式的なものではなく、具体的に、かつ教育・訓練に繋げるという視点で洗い出すことが必要です。

具体的なスキルマップを作れば、スキルマップは有効なツールとなり、職場の力量の底上げに大きな役割を果たしてくれるはずです。
(→スキルマップの作成方法

まとめ

ISO9001では、「製品品質に影響がある仕事に従事する人の力量を把握し、必要な教育・訓練を実施すること」を求めています。

スキルマップがあれば、業務に必要な力量を簡単に把握でき、さらには行うべき教育・訓練を明確にすることができます。
ISO9001で求められる教育・訓練を行うためのベースとして、スキルマップは必要不可欠なツールと言えるでしょう。

スキルマップは定期的に作成することが目的ではなく、あくまで教育・訓練に繋げる為のベースとして捉えましょう。
具体的なスキルマップを作成すれば、スキルマップが形骸化することを避け、職場の力量の底上げに必ず役立ちます。