【丁寧に図解】スキルマップ(力量管理表)の作成方法|スキル体系、評価基準、スキルの棚卸など|社員のスキル・教育訓練・資格・力量を一元管理、スキル管理クラウドSKILL NOTE(スキルノート)

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いざ、スキルマップを導入しようとすると、「職場に合ったスキルマップはどうやって作ればよいの?」「うちの職場につかえる見本はないかな?」というお声を耳にします。
また、すでにスキルマップを導入している組織においても、「スキルマップを見直したい」「もっと改善できないかな」というお悩みがあります。

残念ながら、すぐに自分の職場で使えるスキルマップのテンプレートはありません。
スキルマップは、あくまで自社や職場にあったものを作成して、初めて効果を発揮できます。

でもご安心ください。
スキルマップの作成には、難しい知識や能力が必要なわけではありません。
基本的な作成方法を頭に入れておけば、誰でも職場に合ったスキルマップを作ることができます。

そこでこの記事では、3つのステップできるスキルマップの作成方法の基本を紹介します。
この3つのステップをしっかり抑えることで、職場に合ったスキルマップを作るための基本的な考え方が身につきます。

 

 

スキルマップ(力量管理表)作成の3つの基本ステップ

スキルマップの作成は、基本の流れといくつかのポイントを抑えれば、決して難しいものではありません。皆さんが、自社オリジナルのスキルマップを作成できるように、ここではスキルマップ作成の基本ステップをご紹介します。

スキルマップは、以下の3つのステップで作成していきます。

  1. スキル体系の作成
  2. スキルの評価基準の策定
  3. スキルの棚卸し

スキルマップの作成や更新を手間なく実現。社内のスキルを可視化し、活用できるシステム管理の方法とは?

ステップ1 スキル体系の作成

ステップ1では、スキルマップで管理するためのスキルの体系を作成します。
スキル体系がうまくできないと、後々のスキル管理の効果が薄れてしまいますので、まさにスキルマップ作成の肝になるプロセスです。

まずは製造業におけるスキル体系の例を、以下にご覧いただきましょう。

 

スキル体系の例
スキル体系の例

 

目的にあった適切なスキル体系を作成するためには、以下の5つのポイントがあります。
これらは多くの担当者様がお悩みになっているポイントですので、順にご紹介していきます。

 

1. スキルの分類方法:「スキル体系はどう分類するのか?」

スキルの分類の仕方は、スキルマップの目的によって変わりますが、多くの場合では職場の業務フローの順に沿って、職場に必要なスキルを洗い出していくとよいでしょう。
第一階層を「業務項目」で区分し、そこから業務項目ごとの「作業項目(スキル)」に分解していくと、必要なスキルを漏れなく洗い出していくことができます。

また少し応用的になりますが、スキルの分類を「業務項目」ではなく、「要素技術」や「製品または製品カテゴリー」で整理することもあります。
「製品や製品カテゴリー」で分類すると、その製品を生産するために必要なスキルや、またそのスキルをもった人材がいるのかどうかが明らかになります。

スキル体系を検討し始めると、どのように分類すればよいのかという悩みに、必ずといってよいほど直面します。その際には、「スキルマップを何の目的のために作成するのか」に立ち戻り、その目的に見合った分類でスキル体系を整理していくとよいでしょう。

2. スキルの階層数:「スキル項目は何階層が良い?」

スキル項目を作成する際には、スキルを何階層で作成するか、またどのようなレベル感の項目で分類していくかを決めておくとよいでしょう。

スキル項目の階層数は、何階層にするという決まりはありません。
ただし、あまり階層数が多いと複雑になってしまいますので、2~3階層程度、多くても4階層程度で管理するのがオススメです。

3. スキルの粒度:「スキルの細かさはどれくらいにすべきか?」

スキルの粒度とは、スキル項目の細かさの事です。

スキル体系を作成する際に、職場の業務やスキルを分解していくと、かなり細かい作業にまで分解することができます。しかし、スキルを管理する際に、スキルの項目が細かすぎても、管理がしきれません。逆に粗すぎると、職場のスキルを把握するにも、教育につなげるにも不十分です。

では、どれくらいの粒度で管理するのがよいでしょうか?
以下、参考例をもとに考えてみましょう。

 

参考例:表計算ソフトExcelに関するスキル体系 

Excelに関するスキル項目
Excelに関するスキル項目

いかがでしょうか?
どちらも同じExcelに関するスキル項目ですが、例2は細かすぎると感じた方が多いのではないでしょうか。人によっては、例1でも細かいと感じたかもしれません。

どちらかが不正解という訳ではありませんが、スキルの粒度は、職場の特性やスキル管理の必要性に応じて決めていくべきです。
Excelが業務の中心である職場では、もしかすると例2のようなスキル項目が必要かもしれません。また多くの職場では、例1程度か、もしくはExcelのスキルは管理すら必要ないかもしれません。

運用に合ったスキルの階層構造を作成し、スキルマップの活用を促進する!スキルマネジメントシステムSKILL NOTEとは?

4. スキルの内容:「スキル項目に知識は入れても良いの?」

スキルとは、訓練によって習得できる能力、技能、技術のことです。一般的には、「○○○をできる」という表現ができるものをスキルと呼びます。

しかし、スキルマップで用いるスキル体系では、あまり厳密にスキルだけにこだわらずに、必要に応じて、知識や資格をスキルマップのスキル項目として混ぜても問題はありません。

5. スキル名称の表現:「スキル名はどう表現する?」

スキル名は、例えば「給与計算」や「部材の強度測定」という様に、単語で書くのが一般的です。

「給与を計算できる」、「部材の強度を測定できる」等、文章で表現するケースもありますが、単語で管理する方が、スキルマップ上での記載や、また会社全体でスキルを集計する際に、管理が楽になります。

特別な理由がなければ、スキル名称は単語で表現する方がよいでしょう。

※スキルの定義についての補足
「給与計算」や「部材の強度測定」といったスキル名は、そのスキルに関連する業務に馴染みの方なら、その内容はすぐに想像できます。一方で、そうでない方から見ると、どのようなスキルなのかわかりません。

また、「部材の強度測定」というスキルを、指導員Aさんが評価した場合と、指導員Bさんが評価した場合では、同じレベル3であっても、その程度にバラツキが生じるかもしれません。

このように、スキルの解釈や評価のバラツキを避けるためには、必要に応じて、スキルに概要を記載して、補足すると良いでしょう。

 

スキル名称の表現
スキル名称の表現

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ステップ2 スキル基準の策定

次に、スキルの達成度を判定するためのスキルレベルを決めていきます。

スキルを「○:持っている/×:持っていない」とスキルの有無だけで評価する場合もあれば、レベル   1〜4というように、スキルにいくつかの段階を持たせることもあります。

どちらが正解という訳ではありませんが、スキルにレベルを持たせると、従業員の保有スキルがよりわかりやす くなります。以下にスキルレベル(4 段階)の例を⽰します。

【スキルレベル例】

レベル レベル基準
レベル 4 指導をできる
レベル 3 ⼀⼈で実施できる
レベル 2 指導を受けながら実施できる
レベル 1 補助をできる

スキル基準は何段階にすべきか?

スキル基準の数は、これも正解はありませんが、3〜6 段階くらいに設定されることが多いようです。筆者の経験では、4 段階を採⽤している企業が最も多いと思います。

スキル基準を多くすれば、より詳細な管理が可能になりますが、その反⾯で、細かい段階が多いために 評価が難しくなってしまうので注意が必要です。

スキル基準は、スキルマップを作成する⽬的や管理の⼤変さなども考慮しながら、⾃社にあった無理の ないものにしていきましょう。

スキルマップ上でのスキルレベルの表⽰

スキルにレベルを持たせる場合、スキルマップ上におけるレベルの表⽰は、企業によって創意⼯夫してお り、様々な形式があります。⼤きく分類すると、次の 3 パターンのレベル表⽰があります。

【スキルマップ上のレベル表⽰例】

表⽰パターン
数字 1/2/3/4
アルファベット D/C/B/A
図形 ◎/○/△/×、
※    注記)以降⽂中では、4 マスの記号を[1/4]のような表現で記載します。[1/4]は、4 分の 1 が塗りつぶされている記号を⽰すものとします。

数字パターンは、現状、最も利⽤されているスキルレベルです。⼀部の企業では、合計値や平均値を計算して、指標として利⽤しています。このような際には、数値 はそのまま計算できるというメリットがあります。また⼀部では、図形パターンを使っている企業もあります。

「◎/○/△/×」、    [1/4][2/4][3/4][4/4]は、スキルマップ上で視覚的にレベルが把握しやすいというメリットがあります。特に、[1/4][2/4][3/4][4/4]は、⾊で塗りつぶされた⾯積の⼤きさで、レベルの⾼いスキルをどれだ け持っているかが判るのが特徴です。

しかしながら、Excel で管理する場合には外字を使う必要があり、またスキル管理をシステム化する場合にも対応が難しいというデメリットがあります。⽬的や運⽤の容易さを念頭におき、⾃社にあったレベル表⽰を使いましょう。

ステップ3 スキルの棚卸し

スキル体系とスキル基準ができれば、いよいよ従業員ごとのスキルレベルを棚卸ししていくことになります。 スキルの棚卸し、つまり職場の従業員の⽅が持っているスキルの評価には、⼤きく分けて、以下2つの⽅法があります。

・上司が部下のスキルを評価し、記⼊する

・本⼈が⾃⾝のレベルを記⼊し、上司が評価・修正する

スキルの評価に試験等はないの?と疑問に思われる⽅もいるかもしれませんが、多くのケースでは上司 による客観評価が⽤いられています。スキル毎に試験を⾏えば、より正確なスキルのレベルが測定できるかもしれませんが、職場に必要な多 くのスキル毎に試験を設けて評価するのは、運⽤において負荷が⼤きくなってしまいます。

スキルの可視化や⼈材育成が主な⽬的と考えると、スキル基準に基づいて、上⻑が評価していくのが 最も現実的と⾔えるでしょう。(もちろん、重要なスキルにおいては、試験や認定制度を設けるという のも、優れたアイデアです。)

スキルマップのマス⽬にレベル値が記⼊できれば、いよいよスキルマップの完成です。 これで職場のメンバーのスキル状況が⼀⽬瞭然になりました。

ぜひスキルマップを活⽤し、現在または将来的に不⾜するスキルを確認しながら、スキルの育成を進め てください。

スキルマップ(力量管理表)は何で作成する?

スキルマップは、Excel     のような表計算ソフトを利⽤して作成する⽅法と、専⽤システムを使って運⽤する⽅法があります。

スキルマップの作成は、上記で説明した3つのステップにおけるポイントを抑えれば、職場にあったスキルマップを作成することができます。

ただし、スキルマップの作成で、最初から 100 点を⽬指すのは簡単ではありません。80 点を⽬指して作成し、運⽤しながら修正を加えていくことがゴールへの最も近道です。まずは⾝構えてしまうより、⼩さい範 囲でもよいのでスキルマップを作成し、運⽤を始めてみるのがよいでしょう。

スキルマップの運⽤を継続していけば、必ず職場の⼈材の可視化やスキル育成において効果が実感でき るはずです。


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