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【無料テンプレート】FMEAの表・フォーマットの使い方や注意点について解説

品質マネジメントシステムにおいて重要な役割を担っているFMEAは、作成に時間がかかる上に、十分注意をしていても必要な項目の抜け漏れが発生してしまうことがあります。

そこで、効率的に正確なFMEAを作成するためには、決められたテンプレート・フォーマットに則って進めるのが望ましいです。社内で共通のテンプレートを使用することで、さまざまなメリットを得ることが可能です。

この記事では、FMEAのフォーマットに記載すべき基本的な項目やフォーマットを作成する際の注意点について解説します。

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記載項目
 ①対象
 ②機能
 ③故障モード
 ④故障の影響
 ⑤スコア:厳しさ
 ⑥スコア:発生頻度
 ⑦スコア:検出性
 ⑧スコア:合計
 ⑨処置内容
 ⑩処置後のスコア

FMEAにおけるフォーマットの重要性

FMEAの作成において、そのフォーマットは重要な役割を担います。安定した品質のFMEAを作成するためには、あらかじめフォーマットに必要事項を記載する欄を設け、それをすべて埋めれば品質を確保できるようにするといいでしょう。

また、決められたフォーマットを使用することで、FMEAを作成する側は迷いなく進めることができ、チェックする側も効率的な確認が可能です。限られた開発期間で重大な故障を避け品質の高い製品を開発するために、FMEAのフォーマットを作り込むことは効果的な取組みといえます。

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FMEAの基本的なフォーマットに記載すべき項目

FMEAのフォーマットは、扱う製品や工程、企業ごとにカスタマイズされることが多くあります。ここでは、FMEAのフォーマットに記載しておくべき、基本的な項目を紹介します。

①対象

対象の欄には、故障モード解析を行う対象を記載します。設計FMEAの場合には、製品を構成する各部品、工程FMEAの場合には、人(作業)や設備などの5Mが該当します。それぞれの対象は、並列で記載する他の対象と粒度を合わせて記載することが重要です。

②機能

機能の欄には、故障モード解析を行う対象が、製品や工程においてどのような機能、役割を担っているかを記載します。FMEAでは、各故障モードが機能ごとにどのような影響を与えるか明確にする必要があるため、一つの対象が複数の機能を担っている場合にはすべての機能を抽出し、機能ごとに個別に影響解析をする必要があります。

③故障モード

対象と機能の抽出ができたら、故障モードを記載します。故障モードは、製品の故障状態や不良とは異なるため、定義を確認し過不足なく故障モードを抽出しましょう。FMEAにおける故障モードについては、こちらの記事で詳細に解説しています。

④故障の影響

故障モードによってどのような影響が生じるかを、対象の機能ごとに記載します。機能が多い場合には、故障の影響の記載欄を機能ごとに列で分けるフォーマットにすることで、ある故障モードが各機能に及ぼす影響を確認しやすくなります。このように、扱う製品の特長に応じて、フォーマットを調整することも効果的です。

⑤スコア:厳しさ

厳しさでは、故障モードによって生じる影響がどの程度厳しいものなのかに応じて、点数付けを行います。実際に各影響に対する記載欄を埋めながら点数を付けると、各点数の付け方が曖昧になり、点数間の整合性が取れなくなることがあります。

そこで、機能ごとに影響と厳しさの点数をあらかじめ紐づけて定義しておくことで、作成が効率的になり、人によるばらつきも低減できるでしょう。ExcelでFMEAのフォーマットを作成する場合には、故障の影響をテンプレート化した上で選択式にし、厳しさのスコアは故障の影響を参照して自動入力できるようにすると効率的です。

⑥スコア:発生頻度

発生頻度のスコアは、各対象において故障モードが発生する確率を記載します。電子機器や機械部品など、部品によってある程度故障率を明確に判断できるため、こちらも自動入力できるようにしておくとスムーズでしょう。

発生頻度のスコアは、機能や故障の影響によって変わることはなく、対象と故障モードによって決まります。

⑦スコア:検出性

検出性では、発生した故障モード、もしくはその影響がどの程度検出しやすいかを記載します。検出するのは、製品や工程自身が検出機能に基づいて自動検知するものだけでなく、作業者が検知する場合も考慮することが必要です。

検出性は、対象と故障の影響(正常状態からの変化)によって決まるため、類似の故障モードであったとしても、検出性には差が生じることがあります。

⑧スコア:合計

合計のスコアは一般的に、厳しさと発生頻度と検出性を掛け合わせることで算出されます。この合計スコアが一定値以上になる場合には重大な故障モードだと判断できるため、スコアを下げるために設計的な処置を行う必要があります。

⑨処置内容

厳しさのスコアや合計スコアが一定値以上になる場合には、重大な故障モードを避けるために設計的な処置を行う必要があります。処置内容の欄には、スコアを下げるための具体的な処置やその考え方を記載します。

処置内容としては、主に厳しさや検出性のスコアを下げるようなものが一般的です。特に、検出の仕組みを新たに追加し、検出後に何らかの処置を行うことで、厳しさや全体のスコアを低減することが多いといえます。

一方で、対象や故障モードから決まる発生頻度のスコアを下げようとする場合、対象から見直しが必要になってしまうため、あまり積極的には行われません。

⑩処置後のスコア

設計上の処置が完了したら、再度スコアを算出し、重大な故障モードが解消されていることを確認します。ここでのスコアが期待通り下がっていない場合には、追加の処置を検討する必要があります。

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FMEAのフォーマットを作成する際の注意点

web検索をすれば、FMEAのフォーマットをダウンロードすることは可能です。最低限の用途であれば問題ありませんが、FMEAのフォーマットを選定・作成する際には、注意すべきポイントがあります

共通のフォーマットを使用する

FMEAのフォーマットは、社内全体で共通のものを使用しましょう。部署や製品、工程ごとに異なるフォーマットを使用していた場合は、その都度記載ルールや定義の確認が必要です。

共通のフォーマットを使用すれば、作成時に一から理解する必要がなくなり、レビューの際にもフォーマット自体の解説が不要で効率的に進められます。また、異なる製品のFMEAとも容易に比較できるようになるため、効率的な開発に繋がります。

共通のフォーマットを決定したら社内規定などに登録し、フォーマットを変更する際には規定を変更する形で更新を行うことで、全社ルール化と共通化の実現が可能です。

自社の製品に合わせてフォーマットをカスタマイズ

webからダウンロードした基本的なフォーマットは、自社の製品や工程に合わせてカスタマイズすることが望ましいです。自社にとって判断基準となる重要な情報を記載する欄を追加し、説明がしやすいように記載する順番を変更することも重要です。

最初はうまくいかないこともありますが、「フォーマットは最適化していくものだ」ということを各メンバーが考えていれば、徐々に最適化されていくでしょう。また、記載する文章のテンプレートも、FMEAの作成を通して徐々に構築していく必要があります。

スコアの判断基準を明確にしておく

FMEAに記載する各スコアは、作成者やレビューのタイミングごとに判断基準が曖昧になってしまうことがあります。そこで、各スコアの判断基準をあらかじめ準備しておくことで、点数のばらつきによるレビューの長時間化ややり直しを避けられます。

スコアは、各影響ごとの厳しさや発生頻度、検出性のそれぞれについて、過去の情報も含め確認することが望ましいです。

まとめ

FMEAを作成する際に、品質確保や効率化の観点から効果的なFMEAフォーマットの適用が望ましいです。初めからうまくいくことは多くないため、基本的なフォーマットを進めていく中で習得し、徐々にカスタマイズを進めていくといいでしょう。

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04. ISO力量管理

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