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2024.4.19
製造現場でよく耳にする機械保全技能士。この記事では機械保全技能士になるための「機械保全技能検定」の試験内容や合格率、取得のメリットを解説します。
目次
工場などの製造現場において、機械が正常に稼働し続けるために故障時に修理をしたり、故障を未然に防いだりする保全業務は欠かせません。機械保全技能士とは、機械のメンテナンスや修理などの保全業務を行う技能士のことです。
機械保全技能検定は国家検定制度である131種類の技能検定のひとつ。厚生労働大臣指定試験機関である公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が行っています。累計受検者数は92万人で、ものづくり分野の国家検定で受検者数が1番多い国家検定です。
試験では機械保全に必要となる知識・技能が問われ、合格すると「機械保全技能士」と名乗れます。
機械保全技能士の仕事は、工場の機械が正常に稼働するために故障や劣化を未然に防ぐ機械保全です。具体的な仕事内容は下記の通りです。
以上は機械保全技能士の仕事の一例です。機械保全技能士は機械保全に関するさまざまな知識・技能を身に付けておく必要があります。
近年、機械設備の高度化によって生産性が大幅に上昇しましたが、故障やトラブルが全くない機械はありません。機械に不具合が生じた場合は人間が修理やメンテナンスを行うものです。そのため、機械化が進むほど、製造現場にとって機械保全技能士が重要な存在となります。
企業側のメリットもあります。それは、従業員の機械保全に関する知識や技能の向上によって製造現場全体のレベルアップにつながることです。
機械保全のレベルが上がれば製造部門や保全部門の高度化し、お客様からの信頼も高まるでしょう。
また、機械保全技能の資格を人事評価に活用したり、資格手当を支給したりすることで、従業員のモチベーションアップにつなげられます。
自己啓発によって従業員が自信を持ち、積極的な言動が増えれば、生産性の向上が期待できます。
受検者のメリットは、合格すれば「技能士」と名乗れ、キャリアアップになることです。合格者は名刺などに「機械保全技能士」と記載ができます。
また、資格取得によって第三者から公平な評価を得られるため、機械保全に関する知識や技能の習得を客観的に証明できます。企業によっては資格手当ての支給や、昇給や昇進で有利になる可能性もあります。
各級の対象者イメージと受検資格を下記の図にまとめました。
機械保全技能検定には、特級、1級、2級、3級の4つの等級があります。
3級は誰でも受検可能ですが、2級は実務経験2年以上、1級は実務経験7年以上、特級は1級取得後5年以上経過で受検可能です。下記サイトから受検資格があるかを簡易チェックできます。
等級別の受検者の年齢層と申請単位を下図にまとめました。
受検者の申請単位をみると、3級は学校単位が半数以上、2級以上は企業からの受検者が7割以上を占めています。学校や企業からの後押しが非常に強い技能検定であるといえます。
また、受検者の年齢層をみると、3級は10代が過半数を占めています。2級以上は20代が最も多く4割、次いで30代の3割が続きます。
2級受検者の最頻値が20代。1級では30代、そして特級では40代。級が上がるにつれ受検者層の年代が上がっています。このことから、人材育成のマイルストーンとして活用されているのが分かります。
過去数年の各等級における受検者数・合格者数・合格率のグラフをみると、受検者数は毎年2級が最も多く、次いで1級が多くなっています。
また、合格率は3級が70%以上と高いものの、級が上がるにつれて合格率が下がる傾向にあります。
2022年の合格率は特級が21.4%、1級で27.5%、2級で32.5%、3級で76.5%となっています。
機械保全技能検定には学科試験と実技試験があります。学科試験は全作業共通のマークシート式ですが、実技試験は選択作業別(機械系保全・電気系保全・設備診断)に試験が実施されます。ただし実技試験でも特級は全作業共通試験です。
機械保全技能試験は、等級が上がるにつれて知識・技能の専門性が高くなります。ただし、実務経験がなくても受検できる3級は、保全に関する基本的な知識・技能が問われる傾向にあります。詳しい試験範囲については公式サイトを参考にしてください。
機械保全技能検定は、職業訓練によって学科試験が免除できる場合があります。職業訓練の種類や訓練期間、専攻科目などによって免除になる条件は異なりますので、公式サイトを確認してみましょう。
2023年4月時点の各級の受検料は下表の通りです。
また、受検者が25歳未満または学生の場合、受検料が減額されます。
機械保全技能検定は、毎年3月に次年度の試験概要が公開されます。試験は3級のみ年2回、2級以上は年1回の実施です。3級が6〜7月と12〜2月、2級以上は12月〜2月の開催予定となっています。
学科試験は各都道府県で実施されますが、実技試験はどの保全作業で受検するかによって地区が異なります。実技試験が電気系保全作業の場合は受検地区によって試験会場と試験日が学科試験と異なる可能性がありますのでご注意ください。
機械保全技能検定の公式サイトでは、過去に実施した3年分の試験問題と解答が公開されています。まずは受験する等級の過去問をチェックし、どのような問題が出題されているか傾向を知りましょう。
機械保全技能検定の公式サイトでは、過去問や等級に対応したテキストが紹介されています。
この記事では機械保全技能士について、試験内容や資格取得のメリットなどを解説してきました。
機械の高度化が進む製造現場において保全業務に関わる機械保全技能士は、今後も需要が増加し続けると予想されます。この記事をぜひ機械保全技能検定を受験するかどうかの参考にしてみてください。
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