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資格管理とは? 資格を管理する目的・方法・収集項目・システム導入のメリットなど

資格管理とは?

企業で行う業務の中には、資格を持っていないと担当できない業務や資格を持っていることで有利に進められる業務があります。

あらゆる業務において資格を有効活用するには、「誰がどのような資格を持っているか」「いつ取得したか・更新が必要か」を明確にする必要があります。そして、資格情報をきちんと管理することで、業務分担や人員配置を最適化できるメリットがあります。

この記事では、資格管理の概要や資格管理を行うことの目的、効果的な資格管理の手段、資格管理システムを活用するメリットなどを紹介します。

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従業員の資格管理とは

資格管理とは、従業員が保有している資格を企業が集約し、社内で共有できる状態に整理することです。保有している資格だけではなく、今後の資格取得計画も合わせて管理する場合もあります。

管理対象となる資格の種類は明確には限定されておらず、国家資格から民間資格、社内資格、技能検定や特別教育など、多岐にわたります。

基本的には、数ある資格の中でも業務に直結するものが管理対象です。ただし、資格管理の対象をあえて限定せずに、幅広く情報を収集・管理することもあります。また、管理対象の資格は企業内で部門ごとに分けることもありますが、多くの場合は全社で一括管理します。

従業員の資格管理を行う目的・メリット

従業員の資格管理を行うことには、以下のような目的やメリットがあります。

業務に必要な資格を持つ人材の明確化

特定の資格を持っていることが必要な業務には、対象の資格を保有している人を割り当てる必要があります。また、資格を持っていることで有利に進められる業務も、該当の資格を保有している人に担当してもらうことが望ましいでしょう。

従業員が保有している資格を管理できていれば、特定の資格保有者を速やかに抽出し、担当として割り当てることが可能です。特に、新規プロジェクトを立ち上げる場合、人員不足で異動を検討している場合には、資格情報を把握していることでスムーズに人材配置を調整できるでしょう。

資格観点での人材育成への活用

自社の事業を構成する業務に必要、もしくは役に立つ資格を保有している人がいない場合には、新たに資格保有者を確保する必要があります。中途人材の採用や外部委託の活用も考えられますが、自社の従業員に資格を取得してもらえばスムーズに業務に適用可能です。

資格管理を行っていれば、「必要な資格の保有者が自社にはいないこと」や「誰が関連資格を保有しているか」を速やかに把握できます。集約された資格情報を活用して、「誰に」「いつ」「どのような資格」を取得してもらうかという、資格取得に関する人材育成計画を立案・推進することが可能です。

更新忘れによる資格失効の防止

資格や特別教育の中には、有効期限が定められており、定められたタイミングで更新を行わないと失効してしまうものがあります。

会社からの指示ではなく、個人の裁量で取得した資格であれば業務へ大きく影響することはありません。しかし、業務に必要であるという理由で取得した資格の場合には、失効により業務を進められなくなる場合も考えられます。業務に大きな影響が生じるため、資格の失効は避けなければなりません。

資格管理をする際に、取得済み資格の更新期限や更新時に行う対応を集約しておくことで、失効前に事前フォローを行うことが可能となります。

人事評価・給与計算への活用

企業によっては、業務に必要、もしくは役立つ資格を保有している従業員に対して、資格手当を支給する場合があります。支給対象となる資格保有者を集約できていれば、誰に手当を支給する必要があるかを容易に抽出できます。

また、新たに難易度の高い資格を取得したことに対する評価、業務に直結する資格を取得した際のお祝い金(資格取得手当)の支給にも活用可能です。

資格に関する手当やお祝い金の支給は、福利厚生の一つとして会社の魅力向上につながります。

従業員のモチベーション向上

資格の取得によって、従業員は自身の成長を可視化できます。資格の保有や取得でいい査定を得た結果収入が増加すれば、従業員のモチベーション向上にも大きく貢献するでしょう。

また、資格管理において同僚の取得資格が可視化されていれば、従業員同士が切磋琢磨して新たな資格取得やスキル向上に取り組む組織環境を生むことにもつながります。

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資格管理で管理すべき項目

資格管理において管理すべき項目を、基本項目と関連情報に分けて紹介します。ここで紹介するものはあくまで一般的なもので、管理項目は企業によって異なるでしょう。自社の状況に照らし合わせて調整することが重要です。

基本項目

資格管理を行う際に集約・管理すべき基本項目は以下です。これらの情報を集約し、必要な際に取り出せるように整理しておけば、資格管理における最低限の目的を達成することができるでしょう。

資格管理基本項目

関連情報

基本項目に加えて、業務に直接影響しないような資格や今後取得予定の資格も合わせて集約・管理できると、それらの資格情報を効果的に活用できる場合があります。

例えば、新たな事業を開始する際に役に立つ資格を保有している従業員がいれば、プロジェクトチームへの加入やアドバイスを求めることが可能です。また、組織内でフランクなコミュニケーションを生むきっかけとして活きる場合もあります。

ただし、業務に直結しない情報の収集は資格を持つ従業員から反発を招く場合もあるため、情報共有を強制することは望ましいと言えません。共有しても問題ないと従業員が許諾した場合にのみ管理すると良いでしょう。

製造業で管理すべき資格の代表例

製造業において、業務に対する効果が大きいと考えられる資格や特別教育には以下のようなものがあります。

管理すべき資格

従業員の資格管理を行う方法

従業員の資格管理を行う手段としては、主に以下の選択肢が考えられます。

エクセル(表計算ツール)

エクセルなどの表計算ツールを活用するのが、もっとも手軽に資格管理を始められる方法です。管理を行う従業員も使い慣れていることも多く、さらにはエクセルマクロの活用などによって管理しやすい状態に作りこむことができます。

一方で、資格管理を行うための専用のツールではないため、フォーマットを作成する際に手間がかかったり、更新・管理する際に使い勝手が悪くなったりして、結果的に非効率になるリスクもあります。

関連記事:【無料Excelテンプレート付】有資格者一覧表とは? 効率化・運用定着するためのポイントを解説

資格管理機能を搭載したシステム

エクセル以外にも、以下のようなシステムを導入することで資格管理を行うことが可能です。

人事・タレントマネジメントシステム

「タレントマネジメントシステム」は、タレントマネジメントを効率的に行えるように開発されたシステムです。

従業員が保有しているスキルやノウハウ、資格を一元管理し、それを人員配置や人材育成などに活用します。幅広い情報を搭載しているため、効率的にそれらの情報と資格に関する情報を連携させられる点が人事・タレントマネジメントシステムのメリットです。

関連記事:タレントマネジメントシステムとは? 導入のメリットや失敗しない選び方について解説

スキル・資格管理に特化したシステム

スキルや資格の管理に特化した「スキル管理システム」の活用も非常に効果的です。これらのシステムは機能をスキル・資格・研修管理に機能を特化させることで、製造業などの専門性が非常に高いスキル・資格の管理に対しても、きめ細やかな管理が実現できます。

また、資格・スキル・研修管理に特化していることから、システム自体が煩雑になりにくいという特徴があります。多くの従業員が使用する際に、使い方が分からず困るリスクが低い点は、特化したシステムの大きなメリットのひとつと言えます。

関連記事:【徹底解説】スキル管理システムとは? 導入メリットと効果、活用シーン、システムの種類について

資格管理システムの種類と特徴

資格管理システムは、「オンプレミス型」と「クラウド型」に分類されます。

オンプレミス型

オンプレミス型は、システムの導入に必要なサーバーやソフトウェアを自社で用意し、自社のインフラ環境に導入する方式のシステムです。独自に構築することからカスタマイズが可能であり、自社に導入済みのシステムとの連携や独自のUI(ユーザーインターフェース)構築が可能です。

サーバーやソフトウェアを自社で用意するため初期費用の高さがデメリットになります。ただし、自社の求めるカスタマイズが可能であり、導入後のコストもクラウド型と比較して抑えられるため、長期間継続利用する場合にはオンプレミス型の方が望ましい場合があります。

クラウド型

クラウド型は、システムを提供する企業が用意したシステムをクラウド上で利用するため、オンプレミス型のように自社でサーバーやソフトウェアを用意する必要がありません。初期費用を抑えられる点が、クラウド型のメリットのひとつです。

また、管理データがクラウドに保存されていることから、権限が与えられていてネットワークに接続できればどこからでもアクセスが可能であり、スムーズに情報の授受ができます。

クラウド型のデメリットとしては、運用コストが高くなる点やクラウド管理された共通のシステムを用いることによる、自社の都合に合わせたカスタマイズが困難な点が挙げられます。

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資格管理システムを導入するメリット

資格管理を行うために資格管理システムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。

情報の更新が容易

資格管理システムでは、資格管理を行いやすいように作りこまれた専用のUIが用意されているため、情報を最新化する際の更新作業にかかる時間を短縮できます。

人事評価や人員配置、育成計画策定などの参考情報として資格情報を用いる場合には、最新の状態に更新されていることが理想的です。しかし、各組織の担当者がそれぞれの裁量でエクセルなどを使って更新する場合には、工数が足りずに更新が滞ってしまいます。

しかし、資格管理システムではそのような心配は無用です。使いやすさ・更新のしやすさは資格管理システムを導入する大きなメリットと言えます。

社内での速やかな資格情報の共有

資格管理システムは、アクセス権の設定を適切に行えば全社からアクセスが可能となります。更新された最新の情報を速やかに社内で共有できる点は、資格管理システムを導入するメリットと言えるでしょう。

もちろん、エクセルを使用する場合でも広範囲で情報共有を行うことは可能です。しかし、情報を集約した共有用ファイルを複数人で編集することは難しく、場合によっては競合ファイルが作られることで意図しない情報の消失が起こるリスクもあります。

資格管理業務の効率化

各部署に配置される資格管理担当者は、多くの場合メインで担当する業務を別に持ったうえで、特命業務担当として資格管理業務を行います。

エクセルなどを使って資格管理を行う場合には、繁忙期などでは資格更新作業の優先順位が下がって、適切なタイミングでの更新がなされない場合があります。しかし、資格管理システムによって管理作業が効率化されていれば、担当者の負荷を減らすことができ、適切なタイミングでの更新が可能となります。

他システムとの連携

資格管理で集約した情報は、人材配置や評価などさまざまな用途で必要とされます。

資格管理機能を持った多機能なシステムの場合にはシステム内で情報共有を完結できます。また、資格管理機能に特化したシステムの場合でも、他システムとの連携を想定して構築されていますので、情報共有をスムーズに行うことが可能です。

一方で、エクセルで資格管理を行う場合には、連携したい各システムに読み込ませられる形式にファイルを変換する必要があるため、繰り返し変換作用を行う際には作業効率が悪化するというデメリットがあります。

従業員の資格管理を始める際のポイント

資格管理を始める際には、以下のようなポイントを押さえておくことが望ましいでしょう。

管理者・使用者の権限を明確にする

まずは、資格管理システムの管理者を決める必要があります。管理者はシステムの全体にアクセスでき、アクセス権限の付与や問い合わせ・トラブル対応を行います。また、資格管理のルールを決める際にも中心となる重要な役割です。

次に、資格管理システムの使用者に対して、適切な情報更新ができるような編集権限の付与や編集・閲覧可能な範囲を設定します。権限の付与が適切に行われないと、本来共有すべきでない情報の流出や、共有すべき情報の抜けもれにつながるリスクがあります。

定期的に情報更新を行う

資格管理システムで集約した情報は、定期的に最新の状態に更新しておくことで効果的な活用につながります。担当者の裁量に任せても定期的に情報更新されるのであれば問題ありませんが、他の業務との兼ね合いなどで更新がうまくいかない場合は注意が必要です。

情報を更新するタイミングを管理者が定めて、必要な場合にはフォローも行うことで、定期的な情報更新は実現できます。

スモールスタートを心がける

資格管理を始める際には、スモールスタートで始めることが望ましいと言えます。スモールスタートで始めることで、管理者や担当者の負荷、システムやツールの使い勝手、運用方法などを確認できます。

スモールスタートをする際には、管理対象とする資格や従業員数を絞り込むと良いでしょう。最初は狭い範囲で始めることで、資格管理を進めていくうえで生じるだろう課題の整理と解決策を思案しておくことができます。それらの対応を行ったうえで使用範囲を拡大すれば、資格管理もスムーズに進むでしょう。

更新しやすいUI

資格管理システムは、頻繁に使用するものではありません。そのため、システムの編集画面や手順が分かりにくいと誤って編集してしまったり、作業するモチベーションが上がらなかったりします。資格情報を正しく更新するために、更新しやすいUIは必要不可欠であると言えます。

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